諏訪湖までは180Km位、高速を使えば3時間半で行けるだろう。
4気筒498ccのエンジンをかけるのに少してこずった、20回程キックペダルを踏み下ろしてようやく始動した。
伊勢原を6時5分に出発した、夜のうちに通り過ぎた台風の雨で路面は濡れていたが東の空は明るく、予報通り晴れ間が出るのかと期待しながら、中央高速の相模湖インターに向かいCB500を走らせた。
相模湖に近づくほど雲が厚くどんよりとしていた。7時5分に中央高速に乗った、少し走ったところで霧雨が降り始めだんだんシールドが見難くなった、談合坂サービスエリアでカッパを着るか考えながら走っていたが、笹子トンネルを過ぎれば雨は上がっているだろうと思い、談合坂サービスエリアは寄らずにそのまま走った。
相模湖に近づくほど雲が厚くどんよりとしていた。7時5分に中央高速に乗った、少し走ったところで霧雨が降り始めだんだんシールドが見難くなった、談合坂サービスエリアでカッパを着るか考えながら走っていたが、笹子トンネルを過ぎれば雨は上がっているだろうと思い、談合坂サービスエリアは寄らずにそのまま走った。
岩殿トンネルの手前で雨粒がしっかりとしたものになり、堪らず、作業用に広くなっている路肩で合羽を着た。
笹子トンネルを抜けるとやはり雨は降っていなかった、空も明るく薄日さえ差していた、甲府昭和の辺りで合羽はすっかり乾いた。
風圧を避けるように自分のペースにピッタリのトレーラーの後を走っていた、右のバックミラーに見慣れない、しかし、見覚えのある白いスポーツカーが映った、追い越し車線を走ってきたスポーツカーはCB500の右側を走り抜けて行った、その排気音は懐かしく、独特の音だった。
中央道原パーキングの辺りは雨が降っていた、ここから諏訪湖まではそんなに距離はない、バイクを降り休んでいると、さっき聞いた排気音が聞こえ白いスポーツカーが駐車スペースに入ってきた。
スポーツカーのオーナーは自分と同じ位の年齢に見えた。数年前に憧れのこのスポーツカーを手に入れてレストアしたこと、これから四輪の旧車の集まりに行くこと、昔CBに乗っていたこと、雨の中は走りたくないが天気予報を当てにして出掛けて来たことなど、話をしながら自分と共通点が沢山あることが可笑しかった。
1968年7月にマイナーチェンジされた、後期型と呼ばれる白いスポーツカーは当時、最高速は200km/h、400m加速は15.8秒、大型バイク並の性能を誇っていた、自分のCB500K1が発売された1972年に生産が終了しているらしい。
「これから晴れますよ」
「晴れると良いですね」
「天気予報は晴れだから」
そう言うと、一度聞いたら忘れられない排気音を残してパーキングを出て行った。
今、走り去った車は、さっきCB500の右側を走り抜けて行った白いスポーツカーと同じ車なのか、もう一台同じ車種が走っていたのか、そんなことを考えながらヘルメットを被った。