続・少年の夏ー2
同窓会やクラス会の通知は時々届いていた、家族、仕事、そんな事を理由に返事のハガキを一度も出した事は無かった、今回も来るつもりはなかったが、オートバイを思い出してから、今日同窓会があることを思い出した、来るかどうかは分からなかったが死ぬ前に一度逢いたいと思っている少女がいた。
出席の返事を出したのは締め切りをとうに過ぎた四日前だった、さっきの陽介の話だと、自分は出席扱いになっているようで一安心した。
防波堤の上から海と反対側を見ると、集落の上、小高い丘の上にコンクリートで出来た三階建ての建物が見えた、会員制のリゾートマンションで、今は閉鎖されていた。
「まったく余計な物を作りやがって」 チャックは目を左に逸らした。
集落の並びは昔と変わらないが、建物の色や形は今風だった、昔のままのトタン張りの建物が一つ有った、空き家なのは見ただけで分かった。
チャックは中学生のとき防波堤からその家をいつもみていた、日に焼けた腕にテニスラケットを抱え、汗と埃に汚れた白い体操服の少女が帰ってくるのを待っていた、その少女とは三年のとき同じクラスになった、年賀状を出すくらいの仲にはなれた。
釣りをしながらその家を見ていたこともあった、オートバイに乗るようになってもチャックが防波堤に来る目的は同じだった。
つづく