伊勢原CB

Yahooブログから引っ越しました、「あの頃の未来」伊勢原CBです、Yブログで知り合った方が訪問の際には、メッセージで貴殿のURL等をご連絡いただけますと幸いです。

    2012年10月

     
    ソフトクリームは恋の味ー4
     
     
     
     Uターンをして健一を先頭に三台は本栖湖へ向かった、本栖湖に着くと貸ボートの看板がある土産物屋の食堂でラーメンを注文した。店の壁や天井に魚拓が貼ってあった、でかい魚が本栖湖で釣れるのを知っていた義昭は、魚拓に見入っていた。
     
     自分の運転で本栖湖に来れるなら今度釣りに来よう、義昭はそう決めた。
     
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     本栖湖を時計回りに一周してまた国道139号を朝霧高原へと走った、料金所手前の交差点を右に曲がり旧道で白糸の滝を目指した、地図でこの道を調べた健一が先頭を走っていた。
     
     白糸の滝は家族連れで混んでいた、滝に下りる遊歩道を歩くとイカやトウモロコシを焼く醤油の匂いが鼻に入った、売店が並ぶ階段で暑い中を走ってきた三人はソフトクリームやかき氷に目が行った。
     
     「ソフトクリーム美味そうだな」
     
     「俺はかき氷、イチゴがいいぜ」
     
     見ると、ソフトクリームの売り子は自分たちと同じ年頃の少女だった。
     
     「やっぱりソフトだ、俺は食うぜ」義昭はソフトクリームを注文した。
     
     「俺もソフトだイチゴよりソフトだ」健一も注文した。
     
     久夫はコカコーラの缶を手に持っていた、ソフトも良いけどコークも良いぜ、久夫は顎を右に振った、ソフトクリームを手に持った二人は久夫が示した方を見た、そこには赤色のクーラー容器の横にエプロンをした長い髪の少女が居た。
     
     「白糸の滝は良いところだ」義昭が言った。
     
     「確かに良い場所だ」久夫が言った。
     
     滝が近付くと冷たい空気が顔に当たった、半円型にカーテンを広げたような水の流れから噴き出す飛沫が辺りの空気を冷たくしていた、日に焼けた腕に気持ち良かった。
     
     「白糸の滝は良いところだ」義昭が言った。
     
     「さっきも同じこと言ってたぞ」健一が茶化した。
     
     「とにかく良いところだ、俺はここが気に入った」義昭が言った。
     
     来た階段を戻ると、義昭はまたソフトクリームを買いに店に入った、健一と久夫は先にオートバイに戻った、義昭はなかなか帰って来なかった。
     
     
    つづく

     
    ソフトクリームは恋の味-3
     
     
     案内標識の度に交差点を曲がり三台は河口湖の湖畔へ出た、時計回りに湖畔を走ると西湖への案内看板が有った、案内看板の交差点を左に曲がり登り切るとトンネルに入った、トンネルの中で健一が「あ」っと大声を出した、声はトンネルの中の冷たい空気を震わせトンネル中に響いた、三人は次々に奇声をあげ空ぶかしを何度もやった。トンネルを抜けると西湖だった。
     
     西湖で先頭は久夫に代わった、湖畔を半周走り国道139号に出た、青木ヶ原の樹海の中を直線に走り、信号のある交差点を右に曲がると標識通り精進湖が有った。
     
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     精進湖の湖畔を走る道は、だんだんと細くなり、すれ違いの出来ないトンネルには信号機が付いていた、三台はトンネル入口の赤信号で止められた、トンネルからアメリカ製のオートバイが一台出てきた、ライダーは三人へ向けてピースサインを出した、三人はいつもの様にピースサインを返した、信号が青になるとトンネルを抜け、右折すると再び国道139号に出た。
     
     先頭の義昭は前を走る観光バスに苛付いていた、観光バスが右にウインカーを出した時、追い越すことばかり考えていた義昭はバスの左に付いた、曲り始めたバスを左から抜き、樹海の中を上る左カーブをアクセルを開け駆け上がった、バスが曲った交差点が本栖湖への交差点だった。
     
     一番後ろを走っていた健一は、本栖湖入口を通り過ぎたことに気が付いて前の二台に知らせようと速度を上げた、先頭に出た健一の速度に合わせ久夫と義昭も速度を上げた、久夫はギヤを一段下ろしフルにアクセルを開け先頭に出ると二台を引き離しにかかった、その動きに合わせ二台も加速した、三台はレースのように走り富士宮道路の料金所が見える場所まで来た、久夫と義昭も本栖湖を通り過ぎたことに気が付いた。
     
     「朝霧高原だなここは」
     
     「さっきの信号が本栖の入口だったんだぜ」
     
     「今の道は面白かったな、やっぱり350は速えぇなぁ」
     
     三人はバイクを左に寄せいつも見ているより痩せて見える富士山を見上げた。
     
     「本栖湖でなんか食うか、はら減っただろ」
     
     「そーするか」
     
     
    つづく

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