国道246号線の交差点を左に曲るとき、ハンドルに付けている腕時計に街灯の光が当った、針は9時を少し過ぎていた。速いテンポでギヤをシフトアップし、エンジンの回転は上げずに街中を走り抜けた。
 
 昭和46年に発売された、2気筒249ccのエンジンから吐き出される排気音は、思いのほか大きく、街中で4000回転以上に回すのは気が引ける。
 マフラーはノーマルだが回転を上げるとその排気音はけたたましい物がある、これでも一年前のモデルよりは静かな作りらしい。
 
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 ホンダCB250B3セニア、フロントにディスクブレーキを採用したこのモデルは、当時、高い制動力を売りにしていた。5段ギヤ4000回転で暫く走った、スピードメーターの針は60キロを指している。首に当たる風が冷たかった、それはジャケットの中にも入って来る、走り始めて直ぐに寒いかもしれないと思った、真冬用の物を着て来れば良かったと、後悔し始めたときは目的地まで後5Kmの場所に来ていた。
 
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 真っ暗な峠道を、頼り無いライトの光で登るとそこは人工の湖、宮ヶ瀬湖だ。ダムサイトの道路にある温度表示は14度だった。
 
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 肌寒い空気の中をアクセルを開けエンジンの回転を上げて走った、高回転型のエンジンは唸りを上げながらマフラーからけたたましい排気音を辺りの山にこだまさせた。
 
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 水銀灯やナトリウム灯で照らされた道路を排気音を楽しみながら走った、ダム湖の真ん中に架かる橋を渡るとき、ガソリンタンクの左端に小さく月が映っていた、バイクを止めて見上げた空には、中秋の名月から二日経った月が輝いていた。
 
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