ソフトクリームは恋の味-2
 
 ツーリングへ行こう、それだけで何処に行くかは決めていなかった、先頭を交代しながら先頭のオートバイについて走ってここまで来た、いま先頭を走るのは久夫だった、三人とも自分の運転でこの道を走るのは初めてだった。
 
 富士急ハイランドの入口を過ぎ久夫はバイクを左に寄せた、右手で合図をして先頭の交代を促した、左手で合図をして健一の350が先頭に出た、国道をそのまま走り紅葉台の看板を見た時、小学校の遠足で来た事があるのを健一は思い出した、健一は右にウィンカーを出した、三台のオートバイは未舗装の道へ入った、広くない未舗装の道が紅葉台への道だった。
 
 
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 紅葉台の展望台からは青木ヶ原の樹海が見渡せた、緑色の海の向うに富士山がニョキっと生えていた、雪の無い富士山は赤っぽく見えた、西湖の湖面は平らな窪地に見えた。
 
 「あの湖へ行こう」義昭が言った。
 
 「あれは西湖だよな」
 
 「おう、そうだきっと西湖だ、きょうは富士五湖巡りをやるか」
 
 「さっき山中湖は通ったぞ」
 
 「河口湖は西湖から行けるはずだ、確か西湖と河口湖は繋がってるんじゃなかったっけ」
 
 「山中湖、河口湖、西湖、後はどこだよ」
 
 「後は、精進湖と本栖湖だ、本栖湖からは朝霧高原に行けるぞ」健一が地図を見ながら言った。
 
 「決まりだな、富士五湖だ」義昭は健一の肩越しに地図を見ながら言った。
 
 未舗装の道を下り、先頭の義昭は左にウィンカーを出した。
 
 「おい、右じゃねーのかよ西湖は」久夫が怒鳴った
 
 「河口湖から西湖にまわる」
 
 「そーか判った」三台は左に曲った。
 
 
つづく