伊勢原CB

Yahooブログから引っ越しました、「あの頃の未来」伊勢原CBです、Yブログで知り合った方が訪問の際には、メッセージで貴殿のURL等をご連絡いただけますと幸いです。

    2010年12月

    BGM
     
     
    引き潮の波
     
     海岸の後側には崖が有りその崖の上には国道が通っている、崖と海岸の間は崖の上の道が出来るまでは国道だった細い道で、道に沿って集落があった、いくつかの民宿があり夏は海水浴客で賑わう、海水浴客用の駐車場の前に小さなサーフショップを見つけた、ショップといっても看板が出ているわけではなく、WAXありますと書いた紙が入口に張ってあり、中にボードや用品が見えるだけで、波乗り好きのガレージかも知れなかった。
     
     夕方の海はいつもと様子が違った、潮が引いて沖にある岩場が見え、そこから同じ形の波が右と左に繰り返し立って、6人のサーファーが波に乗っていた、彼女は海岸で波乗りを見て、昼間見つけたショップの様な小屋に行ってみた、小屋にいた男は朝浮いていたサーファーだった。 真面目そうな男に彼女は話しかけた。
     
     「此処も波乗りが出来るんですね」
     
     「潮とうねりが合えば波は出ますよ、大潮の引いたときによく出ます、今   朝は良くなかったですが今はいいで すね」
     
     「これはお店なんですか、サーフィンの」
     
     「店といえば店かな、客は知り合いだけですが、今入ってる連中がそうで  すよ」
     
     サーフボードを作るのが男の仕事で隣の小屋が作業場だと教えてくれた。
     
     「波乗りに興味が有るんですか、ここは初心者に丁度いいですよ、ポイン  トが遠いのはきついですが、波は優しいですよ」
      
     「知り合いが少しやっているので興味はあるわ」
     
      「それならやってみるといい、此処でなら楽しいと思いますよ」
     
     「此処でなら楽しいのですか、他所よりも」
     
     「他の浜と違って、ここのポイントは、いつも波がある訳ではないので人が  少ないです、ビギナーは波の質より、人が少ないことが大事ですから、  それに此処の波はビギナー向きです」
         
     「そうね此処は綺麗で気持ち良さそうですものね」
     
     「波に乗りたくなったら此処に来なさい、板は貸してあげますよ、いつでも  歓迎します」
     
      男の言葉にますますこの海岸が気に入った。
     
    イメージ 1
     
     
    つづく
     
     この物語は妄想です。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。

     待望の新連載
     
     「彼女の波」 Someone To Watch Over Me
     
                         
    オープニングテーマ
                            
    お気に入りの海

     浜から沖のリーフポイントまで、右から1左で2と数えながらパドルすると千回は腕を動かす必要がある、あまり波の上がるポイントではないが、東よりのうねりが入る日は潮の加減でメローな波が立つ、今日は沖の低気圧からのうねりが入り、引き潮と共に波乗りが出来る程度にあがった。
     
     彼女には丁度良いサイズだが、このポイントは沖に出るだけで疲れてしまう、やっとのことでポイントに着き、ボードに座って浮いている時の気持ちの良い疲労感も嫌いではなかった。
     
    イメージ 1
     
     3年前の秋が始まる頃、海水浴のシーズンを終え人のいない夏の忘れ物のような海岸に、彼女はオートバイで来て此処がとても気に入った、海岸にあるホテルに泊まって毎日お気に入りの海を見ていた。
     
     3日目の朝、沖へとパドルするサーファーを見た。 
     
     海は少しうねってはいたがとても波乗りが出来るとは思えなかった、サーファーは初めからそう決めていたかのように沖に浮いた、彼女がシャワーを浴び、コーヒーを飲み終えてもサーファーは同じ場所に浮いていた、ラジオのスイッチを入れ海を見たとき目を疑った、サーファーが波に乗っていた、その波は大きくは無いが浮いていた場所と浜との真ん中辺りまでサーファーを運んだ、ここでも波乗りが出来ることを初めて知った。
     
     
    つづく
     
     この物語は妄想です。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。
     

    今年もこれの季節ですねぇ、今はやってないけど。
     
     
    牧瀬里穂は可愛かったなぁ、吉本多香美のヤツは一緒に泣いちゃいます。
     

     この物語はフィクションです。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。
     
      盆が過ぎたその日、康之は夕立の中に傘を差さずに歩く敏子を見た、友だちのCB550の後ろに乗っていた康之は敏子に声を掛けずに通り過ぎた。
     
     髪型をショートにして濡れた服が張り付いた体は細く、思いのほか背が高く見えた、ハイヒールを履いていたのかもしれないと康之は考えていた。
     
     次の日、五郎がバイクで事故をしたと電話があった、交差点で濡れたマンホールの鉄蓋に前輪を捕られ、転んで足を折ったと電話の友人は言った。
     
     入院した病院は康之と同じだった。
     
     康之は自転車で病院に向かった、病室に入ると五郎は左足をワイヤーで引っぱられ、体が動かないように革で出来たベルトでベットに縛り付けられていた。
     
     「ヨゥ、どうよ」 と言う康之に
     
     「痛えよ」 と一言だけ言った。
     
     康之は廊下に出て敏子を探したが見当たらず、ナースキャップに線が二本入った年配の看護婦に敏子のことを聞いた。

      敏子は7月末から来なくなった、急にいなくなったので病院でも困っていると言った。
     
     敏子と同じ寮に住む看護婦は部屋はそのままで姿が見えないと言っていた。

     彼岸過ぎのまだ暑い日、七里ヶ浜で夕焼けの富士山を康之は見ていた、仲間とバイクで城ヶ島に行った帰りに、一台で大仏に寄り江ノ島へとやって来た、寂しい気持ちを抱いたまま鵠沼を通るとき、敏子と寄ったサーフショップに一瞥を投げた。
    イメージ 1
    写真提供、(株)スターボード   酒井いちろう様
    http://starb.cool.ne.jp/
     
     ショップの中では相変わらず日に焼けたオーナーが、サーフボードの修理をしていた、他に客の姿は無かった。

     木枯らしが吹く寒い朝、康之は自転車に乗って高校に向かっていた、交差点を通り過ぎるとき右から交差する赤信号に、メッキのマフラー、2サイクル2気筒のバイクが止まっていた。
     
     2サイクル2気筒のバイクがマフラーから煙を吐きながら、康之の横を通り過ぎて止まった。 康之がバイクを振り向きながら通ったとき、白いフルフェイスの中から
     
      「康之く~ん」  と声がした。 
     
     康之の心が踊った!
     
     何を話して良いか考える康之に向かって
     
     「私、ライダーになったの」
     
     悪戯をした時の子供のような笑顔で言った。
     
     「波乗りもはじめたの、ほんとに沖に出るのは辛いわね、特に波のある日  
    はね」
     
     「うん」
     
     「私ね、これから風になる」
     
     2サイクル2気筒のバイクは走り出した、全力で追う康之は通り過ぎた風に追いつくことは出来なかった。
     
     
    エンディング
     
     
     
     

     この物語はフィクションです。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。
     
     よろしかったらBGMをどうぞ
     
     「サーフィンかぁ、面白そうね、始めようかしら」
     
     「波がある日は沖に出るのが大変だよ、今日のような波に乗るには素質が あっても毎日やって半年はか かるかな、みんな中々上手く出来なくて半年  続かないんだ」
     
     康之の話を聞いていたオーナーが
     
      「波乗りやるんだ、何処に入ってるの」 と聞いた。
     
     「茅ヶ崎です」 
     
      友だちの板を借りてやっていること、まだテイクオフがやっとだと言う事、友だちの家は加山雄三の家の近くに在ることなどを話した。
     
     オーナーは茅ヶ崎のショップの名前をいくつか並べた、その中の一つが康之の友だちが通うショップだった。
     
     「あそこの店はイイね海が目の前だから、今度行ったら宜しく言っといて、う  ちの店の名前言えば分かるから」
       
      二人は丁寧に礼を言うと雨上がりの134号を渡り海岸まで歩いた。
      
      鵠沼海岸にも波乗りが沢山浮いていた。
     
     「康之君はサーフィンもやるんだ、凄い、凄い」
     
     「まだサーフィンなんて言えないよ、立つのがやっとだもの、ウエットスーツも  持ってないし」
     
     「一度やってみたいわ、気持ち良さそうだもの」
     
     「上手になれば良いけど、そこまではただ辛いだけでつまらないと思うよ 沖  に出るのが大変なんだ」
     
     意地悪く言う康之に対して 、不満そうに敏子は頬っぺたを膨らませた。
     
     「ふ~ん、そうなんだ」
     
     美人ではないが 「可愛い」 そんな言葉がピッタリな丸顔の敏子の顔がさらに丸くなった。康之は丸顔が似合う人だと思った。
     
     「これからオートバイが気持ち良い時間ね」 
     
     悪戯をした時の子供のような笑顔で敏子は言った。
     
     「走ろう、暗くなるまでには家に着くかな」
     
     「そうね、走りましょう気持ちの良い時間を」
     
     アクセルオフの度に背中に柔らかい敏子の感触があった、背中の感触に康之の中で何かが弾けそうだった。 
     
     康之が女性を乗せたのは敏子が初めてだった。
     
     「ありがとう、今日はとても楽しかったは、はいヘルメット」
     
     「いいよ、持ってて」
     
     康之はまた一緒にバイクに乗りたいと言い出せず、その代わりに敏子に白いフルフェイスを渡した。
     
     「私はオートバイを持っていないから、これは要らないは」
     
     「今度乗るときにまた使うよ」
     
     「またオートバイに乗せてくれるってこと」
     
     「気が向いたらいつでも」
     
     「それじゃあ、また御願いしようかしら、今度また」
     
     
    イメージ 1
     
    つづく

    このページのトップヘ