伊勢原CB

Yahooブログから引っ越しました、「あの頃の未来」伊勢原CBです、Yブログで知り合った方が訪問の際には、メッセージで貴殿のURL等をご連絡いただけますと幸いです。

    2011年05月

     
     今の時間から半島の先端に行くなら、今日は泊まりかも知れないと沖野は考えた、この先の何件か知っている民宿を思い出しながら沖野は赤いヘルメットを追い掛けた。
     
     沖野の知っている民宿を通り過ぎ、半島の先端も通り過ぎ、半島の西側の道を赤いオートバイは、癖のあるカーブも巧みに走り抜ける、夕焼けの紅い光がヘルメットのシールドに反射して、前が見難い時間になった。
     
     対向車は無く道路の上に見えるものは、沖野の4気筒と赤いオートバイだけだった、赤いヘルメットを被るライダーは、沖野が後ろから付いている事に気が付いている筈だ。
     
     トンネルの直線で沖野は一気に車間距離を詰めた、四気筒のバイクのヘッドライトが、赤いオートバイの後輪を照らした、ライダーが着けているコスメの香りも感じる事ができた。
     
     トンネルの出口は下りの左急カーブで、それを知らせる標識がトンネルの入口と出口に有った。
     
     何度も走った事の有る、トンネル先の急カーブに合わせて沖野は減速した、赤いヘルメットとの距離が開いた、赤いオートバイは減速が遅れた。
     
     赤いオートバイはトンネルの出口で一気に減速して、左急カーブを当たり前のように抜けて行った、沖野は自分の乗る旧いオートバイと、赤いオートバイのブレーキの性能の違いを知った。
     
     沖野の行為を無視するように、赤いオートバイは走り方を変えなかった。
     
     沖野は赤いオートバイの右側に並んだ。
     
     赤いヘルメットのシールドが開き、沖野に笑顔を投げてきた。
     
     沖野に向かい左手を軽く二回振り、首をチョット傾げ、シフトダウンをしたかと思うと、フルスロットルで赤いオートバイは走り去った。
     
     沖野の四気筒は予備の燃料も使いきり、アクセルを開けても加速出来なかった。
     
     シールドをあげた沖野の顔に、潮の匂いと蜜柑の香りの風が当たった。
     
     
    イメージ 1
     
    遠くに赤いオートバイの排気音が聞こえた。
     
     
     
    妄想はここまで、最終回です。

    イメージ 1
     白い砂浜の先にある、その砂浜全体を見渡すことが出来る場所に、赤いフルフェイスは停まった、沖野は振り向きながら追い越し、そのまま先の駐車スペースまで走った。
     
     沖野が停まった駐車スペースから赤いフルフェイスを見ることは出来なかった、口の中のガムを紙に包みジャケットの左ポケットに入れ、グラブをはめ3km先の道の駅へ行くことにした、確信は無いがそこに赤いフルフェイスは停まるだろうと思った。
     
     港町にある道の駅は広い駐車場に、小さな売店とトイレがあり、少し離れた場所に観光客相手の市場がある。
     
     大概の観光客はここで休憩する、沖野はサイドスタンドに車重と体重を預け、ヘルメットを被ったまま赤いフルフェイスを待った。
     
     目立つエンジン音を響かせて、赤いヘルメットは沖野がいる道の駅を通り過ぎていった、キルスイッチをONにしてセルモーターでエンジンをかけ、沖野は国道に出た。
     
     駅の手前にある橋を渡って右に行くか、真っ直ぐ行くかでおおよそのコースは決まる、時間からして真っ直ぐは無いだろうと沖野は思った。
     
     見失わないようにしていた赤いヘルメットは、橋を渡っても右には行かなかった。
     
    妄想はつづく

     
    このお話は妄想だよ。
     
     
     沖野は、赤いオートバイのナンバープレートを見た、さっき見た番号と同じだった、ライダーは女性だ、赤いヘルメットから肩まであるウェーブの掛かった黒髪が出ていた。
     
     赤いフルフェイスに濃い色のシールドのせいで顔は分からなかったが、革のワンピースのライダースーツのシルエットは、明らかに女の線だった。
     
     沖野はヘルメットを右手に持ったまま、そのライダーをじっと見ていた。
     
     赤いフルフェイスを脱ぐと、色白の若い盛りを過ぎてはいるが、可愛らしい顔が現れた。
     
     沖野は得した気分になった、ジャケットの右ポケットからスペアミントのチューインガムを取り出し、丁寧に包み紙をはがしガムを口の中に入れた。
     
     可愛らしいライダーは、空を見上げるように顔を上げ、髪を手櫛で何度か額から後ろに撫で、赤いフルフェイスを被り直すと、エンジンを掛けたままのオートバイに跨り、国道に出て行った。
     
     沖野は慌ててヘルメットを被り、グラブはスピードメーターとタコメーターの間に挟んだまま、四気筒のエンジンをセルモーターでかけ、赤いフルフェイスを追いかけた。
     
     赤いフルフェイスと沖野の間に三台のセダンがいた、国道は暫く脇道が無い、赤いフルフェイスを視界に捕らえたまま走り続けた、目的の海岸を通り過ぎても沖野は追い続けた。
     
    イメージ 1

     
    この物語は妄想です
     
     
      正面に大島が見える国道の駐車スペースに、赤いオートバイが止まっていた。
     深い緑色のタンクが着いたホンダの四気筒に乗る沖野はその駐車スペースに入った、沖野はこの半島にオートバイで来るといつもその駐車スペースで一休みしていた。
     
     赤いオートバイのライダーの姿はどこにも無かった、赤いオートバイだけがオーナーの帰りを待つかのようにサイドスタンドに車重を預けて佇んでいた。
     
     沖野はジャケットの右ポケットからスペアミントのチューインガムを取り出し、丁寧に包み紙をはがしガムを口の中に入れた、堤防の上に足を海に投げ出すように腰掛、波の音を聞きながらガムの味がなくなるまで海を見ていた、包み紙に口から出したガムを包みジャケットの左ポケットに入れ、バイクの所へ歩きヘルメットを被った、グラブをはめイグニッションキーをONに回し、セルモーターのスイッチを押すとエンジンがアイドリングを始めた。
     
     右方向から何も走ってこないのを確認すると、アクセルを一気に煽り国道へと出て行った、六十キロ先の白い海岸が今日の目的地だった。
     
     テレビの天気予報ではにわか雨があると言っていたが、沖野はそんなことは気にせずオートバイで出かけてきた、レインギヤはシートに括り付けてあったが、南に行くほど空が明るくなり、太陽の光が勢いを増していた。
     
     目的と言っても目当てがある訳でもなく、ただ何となくその海岸が見たくなりガレージからオートバイを引っ張り出し走り出した。
     
     六つの温泉街を通り越し、沖野は断崖の上にある展望台へ入った、エンジンを止めヘルメットを脱ぐと、メカノイズが特徴のエンジン音を響かせながら、赤いオートバイが入って来た、赤いオートバイは沖野がいる場所の反対側に停まった。
     
    イメージ 1
     
    つづく

     
    あきらめない、最後まで!
     
    (音が大きいので注意)
     
    もう一つ
     
     

    このページのトップヘ