ソフトクリームは恋の味ー4
Uターンをして健一を先頭に三台は本栖湖へ向かった、本栖湖に着くと貸ボートの看板がある土産物屋の食堂でラーメンを注文した。店の壁や天井に魚拓が貼ってあった、でかい魚が本栖湖で釣れるのを知っていた義昭は、魚拓に見入っていた。
自分の運転で本栖湖に来れるなら今度釣りに来よう、義昭はそう決めた。
本栖湖を時計回りに一周してまた国道139号を朝霧高原へと走った、料金所手前の交差点を右に曲がり旧道で白糸の滝を目指した、地図でこの道を調べた健一が先頭を走っていた。
白糸の滝は家族連れで混んでいた、滝に下りる遊歩道を歩くとイカやトウモロコシを焼く醤油の匂いが鼻に入った、売店が並ぶ階段で暑い中を走ってきた三人はソフトクリームやかき氷に目が行った。
「ソフトクリーム美味そうだな」
「俺はかき氷、イチゴがいいぜ」
見ると、ソフトクリームの売り子は自分たちと同じ年頃の少女だった。
「やっぱりソフトだ、俺は食うぜ」義昭はソフトクリームを注文した。
「俺もソフトだイチゴよりソフトだ」健一も注文した。
久夫はコカコーラの缶を手に持っていた、ソフトも良いけどコークも良いぜ、久夫は顎を右に振った、ソフトクリームを手に持った二人は久夫が示した方を見た、そこには赤色のクーラー容器の横にエプロンをした長い髪の少女が居た。
「白糸の滝は良いところだ」義昭が言った。
「確かに良い場所だ」久夫が言った。
滝が近付くと冷たい空気が顔に当たった、半円型にカーテンを広げたような水の流れから噴き出す飛沫が辺りの空気を冷たくしていた、日に焼けた腕に気持ち良かった。
「白糸の滝は良いところだ」義昭が言った。
「さっきも同じこと言ってたぞ」健一が茶化した。
「とにかく良いところだ、俺はここが気に入った」義昭が言った。
来た階段を戻ると、義昭はまたソフトクリームを買いに店に入った、健一と久夫は先にオートバイに戻った、義昭はなかなか帰って来なかった。
つづく