ガソリンタンクキャップを開け中を覗き込みガソリンの量を調べた、前回乗った時コックを予備にしたのは道志道を走っている時だった、八月の暑い日だった、その日は給油せずそのまま帰って来て、そのまま仕舞ってそのままだった、ガレージからこのバイクが出たのはその日以来だ。
これなら30kmは走れる、途中で給油すれば大丈夫。
コックを予備に合わせ、バッテリーを取り付けた、空キックを二十回、キーをONに回し右足でいっぱいにキックすると、開けたアクセルに反応して四本のマフラーが「ウォン」と咆えた。
走り出すと向かう西の空が陰って来た、目的地は雲の向う、降られる事は無いだろうとアクセルを開けた。
空を覆う雲は厚くなり雨粒が落ちて来た、雨粒は次第に大きく激しくなった
逃げるように路面が乾いた場所まで走り、びしょ濡れのグローブを外しながら、明るい東の空を眺めた、こんな時期に土砂降りなんて。
おわり