ヨッパライの小噺だから、怒っちゃイヤよ


「えっ、したこと無いの」妙齢の女は若い男の顔を見た。

「やったこと無いんです」

「それじゃぁ教えてあげるから、そこに入りましょ」

 二人が乗ったセダンは電飾看板に誘われるように、左に曲がった。

「ここに入れるのよ」

「この穴だね、緊張しちゃうなぁ、上手く入るかな」

「ほら、ぐっと奥まで入れて」

「入ったよ、出していいんだよね」

「最後はこぼさないように気を付けてよ」

「もういっぱいかな、まだ入るのかな」若い男は穴を覗き込んだ

「良い経験になったよ、これからはもう大丈夫、一人で出来るよ」

 二人の乗ったセダンはセルフスタンドを出て行った。

おわり