この物語はフィクションです。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。
よろしかったらBGMをどうぞ
「サーフィンかぁ、面白そうね、始めようかしら」
「波がある日は沖に出るのが大変だよ、今日のような波に乗るには素質が あっても毎日やって半年はか かるかな、みんな中々上手く出来なくて半年 続かないんだ」
康之の話を聞いていたオーナーが
「波乗りやるんだ、何処に入ってるの」 と聞いた。
「茅ヶ崎です」
友だちの板を借りてやっていること、まだテイクオフがやっとだと言う事、友だちの家は加山雄三の家の近くに在ることなどを話した。
オーナーは茅ヶ崎のショップの名前をいくつか並べた、その中の一つが康之の友だちが通うショップだった。
「あそこの店はイイね海が目の前だから、今度行ったら宜しく言っといて、う ちの店の名前言えば分かるから」
二人は丁寧に礼を言うと雨上がりの134号を渡り海岸まで歩いた。
二人は丁寧に礼を言うと雨上がりの134号を渡り海岸まで歩いた。
鵠沼海岸にも波乗りが沢山浮いていた。
「康之君はサーフィンもやるんだ、凄い、凄い」
「まだサーフィンなんて言えないよ、立つのがやっとだもの、ウエットスーツも 持ってないし」
「一度やってみたいわ、気持ち良さそうだもの」
「上手になれば良いけど、そこまではただ辛いだけでつまらないと思うよ 沖 に出るのが大変なんだ」
意地悪く言う康之に対して 、不満そうに敏子は頬っぺたを膨らませた。
「ふ~ん、そうなんだ」
美人ではないが 「可愛い」 そんな言葉がピッタリな丸顔の敏子の顔がさらに丸くなった。康之は丸顔が似合う人だと思った。
「これからオートバイが気持ち良い時間ね」
悪戯をした時の子供のような笑顔で敏子は言った。
「走ろう、暗くなるまでには家に着くかな」
「そうね、走りましょう気持ちの良い時間を」
アクセルオフの度に背中に柔らかい敏子の感触があった、背中の感触に康之の中で何かが弾けそうだった。
康之が女性を乗せたのは敏子が初めてだった。
「ありがとう、今日はとても楽しかったは、はいヘルメット」
「いいよ、持ってて」
康之はまた一緒にバイクに乗りたいと言い出せず、その代わりに敏子に白いフルフェイスを渡した。
「私はオートバイを持っていないから、これは要らないは」
「今度乗るときにまた使うよ」
「またオートバイに乗せてくれるってこと」
「気が向いたらいつでも」
「それじゃあ、また御願いしようかしら、今度また」

つづく
コメントする