待望の新連載
 
 「彼女の波」 Someone To Watch Over Me
 
                     
オープニングテーマ
                        
お気に入りの海

 浜から沖のリーフポイントまで、右から1左で2と数えながらパドルすると千回は腕を動かす必要がある、あまり波の上がるポイントではないが、東よりのうねりが入る日は潮の加減でメローな波が立つ、今日は沖の低気圧からのうねりが入り、引き潮と共に波乗りが出来る程度にあがった。
 
 彼女には丁度良いサイズだが、このポイントは沖に出るだけで疲れてしまう、やっとのことでポイントに着き、ボードに座って浮いている時の気持ちの良い疲労感も嫌いではなかった。
 
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 3年前の秋が始まる頃、海水浴のシーズンを終え人のいない夏の忘れ物のような海岸に、彼女はオートバイで来て此処がとても気に入った、海岸にあるホテルに泊まって毎日お気に入りの海を見ていた。
 
 3日目の朝、沖へとパドルするサーファーを見た。 
 
 海は少しうねってはいたがとても波乗りが出来るとは思えなかった、サーファーは初めからそう決めていたかのように沖に浮いた、彼女がシャワーを浴び、コーヒーを飲み終えてもサーファーは同じ場所に浮いていた、ラジオのスイッチを入れ海を見たとき目を疑った、サーファーが波に乗っていた、その波は大きくは無いが浮いていた場所と浜との真ん中辺りまでサーファーを運んだ、ここでも波乗りが出来ることを初めて知った。
 
 
つづく
 
 この物語は妄想です。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。