BGM
 
 
 
彼女の550

 男は彼女にしたのと同じにホースで彼に水を掛けてくれた、彼がうな垂れながら着替えている間に、男は彼女と彼のボードを洗いラックに立てかけ、二つのウエットスーツをハンガーに掛け砂を洗い落とした。
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 「君はあの子と知り合いなんですか」 男が聞いた。
 
 「え、まぁ、そうです知り合いです、ただの知り合いです」
 
 「相模ナンバーかぁ、湘南ボーイはどこから来たのかな」
 
 「彼女が前に務めていた街です」
 
 「じゃあ、あの子にとっては私より旧い知り合いですね」
 
 「有難うございま~す」 小屋から出てきた彼女は男にそう言った。
 
 彼女はライダースーツを着て、黄色いヘルメットを右手に持っていた。
 
 彼は、彼女のライダースーツとヘルメットに見覚えがある気がした。
 
 「紹介するわ、この方は飯塚さん、そこでサーフボードを作ってるのよ、さ っき私が使ってたボードもこの人に削ってもらったの、凄く乗り易いのよ、 もう最高、私は車を持っていないからボードやスーツはあそこに置 かせ  てもらっているの、いつもお世話になってるの」
 
 「もう仕事に行く時間ですよ」  男が彼女に言った。
 
 緑色のCB550のエンジンをセルモーターでかけ彼女が言った。
 
 「私ね大型を取ったのよ、それでこれを買ったの」 
 
 「俺のバイクと同じだ、俺もゴンゴーを買ったんだ」
 
 「それじゃあ、アルバイトで550を買ったのね」
 
 「うぅん、バイトだけじゃ足りなくて、親父に半分以上出してもらった、それ  で親父に言われた通り新車を買ったんだ、黒いヤツ、この辺りには何度  もツーリングに来たことがあるんだ」
 
 「えっ、黒い550、まえに向うの海岸で見たことあるわ、その時550のス  タイルが気に入ってこれを買ったのよ、このヘルメットもその時に、あのヘ ルメットは今でも部屋にあるのよ、アナタと同じオートバイに乗るなんて、 そんな事があるのね」
 
 
 
つづく
 
 この物語は妄想です。 実在の人物、団体などには一切関係ありません。画像はイメージです。