いつもソロで走る沖野も西田佳子も、車両の違いもあり、互いの走りのイメージが違うのを感じていた、一緒に居るのは楽しかったが、一緒に走るのは互いのストレスになると互いに考えた。
 
 「西田さん、何処か行きたい場所はありますか」
 
 「沖野さんはこれからどうするんですか」
 
 「俺はここから国道138に出て、また山中湖に行って、道志道で帰ろうと思う」
 
 「私は海が見たいから、箱根を通って西湘バイパスで帰るわ」
 
 「それじゃあここでとりあえずの解散という事にしよう」
 
 「今日は楽しかったわ、また何処かで会えるといいですね、今日の事もブログに書くんですか」
 
 「今日の事は記事にするか分からない、気が向いたらまたコメントでも書いてください」
 
 赤いオートバイは四気筒のオートバイに付いて走り出した、沖野が滝ヶ原駐屯地を左に曲がった時、佳子は曲がるかそのまま直進するか迷っていた。
 
 水土野の交差点の手前で、四気筒のバックミラーに赤いヘルメットが映った、水土野の交差点を左に曲がっても赤いヘルメットは映っていた、リサーチパーク入り口の交差点を過ぎると、バックミラーに西田佳子は映らなかった。
 
 西田佳子は裏道で乙女峠に行くんだろうと沖野は考えた、オートバイには良いルート選択だと思った。
 
 バックミラーに赤いヘルメットが映らないのは寂しかった。

 次の日、西田佳子から書き込みが有った
 
 「またどこかで偶然に会えたらステキだわ」
 
 コメントの最後に揺れるハートの絵文字があった。
 
 
 
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