少年の夏ー3

次々に高校のバイク仲間が防波堤へとやってきた、チャックを見るなり皆彼らなりの慰めを口にした。
「左手は動くのかよ、夏でも手袋はしねぇとな」
「あ、あぁ何とか動くよ、軍手はやってたんだぜ」
「薄くても革じゃなきゃ駄目だ、足もブーツが一番だコンバースじゃ脱げちまう」
「今日のツーリングは中止にして泳ぐか、チャックがこれじゃあ行けねぇだろ」
「パンツで泳ぐのかよ、海パンもってねーぞ」
「海パンなんかいらねぇよ、ズボンで泳いだってバイクで走ればすぐに乾いちまうだろ」
「大丈夫だ走れる岬まで行こう」チャックが言った。
「じゃあ決まりだ、岬の先っぽ目指して出発だ」
少年達は夫々のオートバイに跨りキックやセルモーターでエンジンをかけた、四本や三本や二本のマフラーから排気音を吐き出しながら走り出した、チャックは足や腕を動かすたび乾いた傷がヒリヒリ痛んだ、走り出して風が当たると痛みが増した。
国道に出る赤信号で、割れたウィンカーレンズの中の電球が点滅していた。
少年達の腿に太陽が照りつけた。
つづく

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