続・少年の夏ー3
青と呼ぶには濃い色のハッチバックが、チャックの後ろをゆっくりと通り過ぎた、サイドシートにテニスラケットが見えた、チャックは海を見ていた。
ハッチバックは空き家の前で止まった、エンジンをかけたまま暫らく止まっていた、走り出すエンジンの音でチャックは振り向き、走り去るハッチバックを見た。
携帯電話のアラームを18時にあわせ、チャックは防波堤の上に横になった、西に傾いた太陽は丘の向うに入り防波堤に丘の影が伸びていた。
夏の夕方には早い時間だが、波の音を聞きながら過ごすのは気持の良い時間で、防波堤に来た目的の一つだった。
防波堤から会館は歩いて十分の場所だ、会館は街の施設で正式には公民館で、五年前に立て替えられて大きなホールが出来ていた、そこが同窓会の会場だった。
受付に陽介が居た、街に残った者が同窓会の幹事をやっていた。受付を済ませ折り畳みイスに腰掛けて眺めていると、知った顔の連中が目に入った、バイクで一緒に走っていた連中だ、チャックを見つけ手を振った。
つづく

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