続・少年の夏ー5
 
 
 女性ばかり集まってワイワイやっているテーブルがあった、その中の一人がチャックに声を掛けた。
 
 「青山君でしょ、初めてじゃない来たのは、変わってないわね、昔のまま、私達はおばあちゃんでしょ」
 
 「オッオォ、並木さんか、生きてるうちに一度ぐらい皆に逢っておこうと思ってよ」
 
 「こっちに来ない」 チャックはそのテーブルへ招かれた。
 
 「ねぇねー、ほら青山君、昔のままだわ羨ましい」 並木幸子はテーブルのみんなに呼びかけた。
 
 「ヨォ、こんにちわ、昔のままって事はねーよ、顔が広くなったよ」 チャックは額を撫でた。
 
 テーブルの向こう側、チャックの正面に探していた顔があった、チャックの心は一瞬に三十七年遡った。
 
 口元の表情で気が付いた、三十七年の月日は少女の面影を少なくしていた、笑った時の目は昔のままだった。
 
 そのテーブルは並木幸子が仕切っていた、幸子は昔からそういうタイプだった、同窓会に来れる自分達は幸せなんだと盛んに言っていた。
 
 会場内を見渡すと、ジーンズにTシャツ姿は自分だけだった、その格好が昔のままの印象を与えたんだろうと考えた、男はスーツやジャケットで他所行きな格好ばかり、社会的にある程度の位置にいるものばかりのようだ、女性もきれいに着飾ってそれなりだった、聞くでもなく話を聞いていると、自分の幸せ具合を計りに来ている雰囲気だった。
 
 
つづく
 
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