続・少年の夏ー8
 
 
「青山君は今何をしているの、同窓会は初めてよね、私は毎回来ていたけど一度も逢わなかったもの」
 
 「俺はなんと言うか、言ってみれば平凡な親父かな、毎日毎日世の中に差し障り無く生きてきた、生きてきたと言うより、切り抜けてきたって言う方が正解かな、今日来ていた連中は偉いよ、街のことに係わりながらいろんな活動をしてるものなぁ、議員になったヤツもいたな、自分がやってることが正しいって自信があんだな、羨ましいよ自信たっぷりで、都合のいい言葉しか耳に入らねーヤツだったけど、議員は投票だからな」
 
 「そのオートバイで来たの」
 
 「ああぁ、これで来た」
 
 「高校生のときもよくオートバイでここに来てたわよね、夕方に良く見かけたわ」
 
 「中学ん時からここへ来んのが日課だった、ここが好きなんだ」
 
 「いつもそこに座っていたわね、そこにオートバイが置いて有ると昔を思い出すわ、家に入る時オートバイを見ながら玄関を開けたものよ」
 
 「そうかオートバイに興味があったんだ、テニスに夢中で勉強も熱心で、オートバイなんて気にもしてないと思ってたよ、高校だって良いとこ行ったしな」
 
 「青山君は大学へ行ったんでしょ」
 
 「一応大学は出たけど、親に金を使わせただけだ、就職が決まって街を出た」
 
 「成人式は一緒だったわよね、卒業まではこの街にいたのよね、なんでここへ来なくなったの、好きな場所なのに」
 
 「景色が変わった時から来るのを止めたよ、好きな場所だから」
 
 「景色が変わったとき」 正代は訊いた。
 
 
つづく
 
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