ソフトクリームは恋の味ー5
健一を先頭に白糸の滝から裾野を抜け、箱根を目指して地図の通りに走ったつもりが、三島の駅前に出た。
「箱根に着くはずじゃねーのかよ、三島って書いてあるぜ」
「御殿場って書いてある方へ行くんじゃなかったのか」
「箱根は御殿場の先だろ、あそこで左だったんじゃねーのか」
「三島から一国を上がれば箱根だろ」
「一国はどっちよ」三島の街中で三人は方向を無くしていた。
「このまま行きゃあ出るんじゃねーのかよ」久夫はひと吹かしすると交差点を直進した。
信号が赤になり二台は遅れた、青になると二台は久夫を追った、幾つ交差点を過ぎても久夫の姿は無かった、国道一号の交差点に出た二台は案内標識の通り箱根へと左に曲った、やがて国道は箱根への登りになりカーブが多くなった、箱根峠を過ぎ元箱根の杉並木で健一はヘッドライトを点けた、暗い杉並木を抜けた先の赤い鳥居の脇に久夫が止まっていた。
「遅かったじゃねぇか」
「勝手に先に行きやがってよぉ」
「おまえ達のことだから有料の新道は下らねぇだろうから、ここで待ってたんだぜ」
「下りは七曲かよ」
「どっちでも良いぜ、七曲にするか」
三人とも箱根は何度も走っことがあった、小田原へ下りる道はよく知っていた。
七曲を下り、三枚橋を右に曲がると国道一号だ、橘から西湘バイパスに入り、大磯を過ぎ海岸線を左に曲がり八間道路を通り義昭の家の前で三台は別れた。
つづく
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