ソフトクリームは恋の味ー6
次の日、義昭は釣り道具をシートに乗せ、まだ暗い国道139号を本栖湖目指して走っていた、本栖湖に着くと適当なポイントでルアーを投げ始めた、日が上がり自分の影が短くなった、魚の反応は一度もなかった、釣り道具を片付け左回りにポイントを探しながら走った、競艇場先の岩場で釣りをする年配の男性を見つけ話しかけた。
「鯉ですか」
「いや、ブラウン、今日はもう日が高くなったからお終いだ」
「いつもここで釣るんですか?」
「ここは実績があるからね、急深なんだここは、今年は大きいのを5匹上げたよ。君も釣りかい、若いからルアーかな?」
「はい、ルアーです、本栖湖は今日が初めてです」
「ルアーの人はこの先の川尻で腰まで水に入ってやってるね、トンネルの下なんかもよくやってるね」
釣りのポイントや餌釣りの方法、えさは活きたヤマベが良いこと、本栖湖についての話をしてくれた。
竿を片付け始めた釣り師に礼を言うとCB250に跨った、湖畔を走りキャンプ場の前を通り過ぎると、昨日ラーメンを食べた土産物屋の前に出た。短い上り坂を上がり交差点を右に曲った、鋭角に曲り込む為右に傾けたCB250のブレーキペダルが路面に擦りガリっと音がした。その先の交差点の信号は青だった。
右にウィンカーを出し国道139号に出ると、樹海の中の左カーブを駆け上がった。
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