テレビの天気予報通り、午後からすっかり春めいた陽射しの中を、直立二気筒624ccのオートバイは、独特な形をしたマフラーから、歯切れの良い排気音を吐き出し、軽快に峠道を駆け上がった、登りきる手前の路肩には、除雪された雪が積まれていた、
標高の有る日影は冬の気配だった、春物のグローブでは寒く感じた、路面は融雪剤で濡れていた。


よっ、お前と俺、二人っきりになれる所へ、運んでくれよな


おわり