この物語はフィクションです。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。
病院の院長は康之の父親の知り合いで康之を良く知っていた。
「左足は駄目だな、骨にヒビが入ってる、腫れが引くまでは入院だな」
院長は2週間位は入院が必要だと言った。

直ぐに両親がやって来た、「バイクはもう駄目だ」 父親が言った。
母親は、「もう絶対駄目だからね」 と言いながら涙を流した。
右の腕もひどく擦り剥いていて、その処置をしてくれたのが敏子だった。
「痛いでしょう、オートバイでやったんだって、消毒するから動かさないで、痛いわよ~」
悪戯をした時の子供のような笑顔で敏子は言った、康之は痛みを堪えながらなぜか痛みが和らぐような気がして敏子の顔を見ていた。
次の日の夕方父親がやって来て、また「バイクは駄目だ」と言った
「フロントホークが曲って、フレームもいっている様だ、もう古いから諦める か」
そんなことをブツブツ言っていた、康之が壊したバイクは父親が知り合いのバイク屋から探してきた中古車だった。
「いつかはやるだろうと思っていた、これも良い経験だ次に繋げればそれで 良いんだ、母さんがうるさいから暫くバイクは止めておけ」
そう言うと父親は帰った。
次の朝、包帯を交換に来たのは敏子だった。
「痛いでしょう、酷く剥けてたから」
悪戯をした時の子供のような笑顔で敏子は言った。康之の包帯を変えると次の患者のところに行って
「痛いわよ~」と言っていた。
