伊勢原CB

Yahooブログから引っ越しました、「あの頃の未来」伊勢原CBです、Yブログで知り合った方が訪問の際には、メッセージで貴殿のURL等をご連絡いただけますと幸いです。

    小さな作文

     この物語はフィクションです。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。
     
      病院の院長は康之の父親の知り合いで康之を良く知っていた。
     
     「左足は駄目だな、骨にヒビが入ってる、腫れが引くまでは入院だな」
     院長は2週間位は入院が必要だと言った。
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     直ぐに両親がやって来た、「バイクはもう駄目だ」 父親が言った。
     
     母親は、「もう絶対駄目だからね」 と言いながら涙を流した。
     
     右の腕もひどく擦り剥いていて、その処置をしてくれたのが敏子だった。
     
    「痛いでしょう、オートバイでやったんだって、消毒するから動かさないで、痛いわよ~」
     
     悪戯をした時の子供のような笑顔で敏子は言った、康之は痛みを堪えながらなぜか痛みが和らぐような気がして敏子の顔を見ていた。
     
     次の日の夕方父親がやって来て、また「バイクは駄目だ」と言った
     
     「フロントホークが曲って、フレームもいっている様だ、もう古いから諦める   か」
     
     そんなことをブツブツ言っていた、康之が壊したバイクは父親が知り合いのバイク屋から探してきた中古車だった。
     
     「いつかはやるだろうと思っていた、これも良い経験だ次に繋げればそれで 良いんだ、母さんがうるさいから暫くバイクは止めておけ」
     
     そう言うと父親は帰った。
     
     次の朝、包帯を交換に来たのは敏子だった。
     
     「痛いでしょう、酷く剥けてたから」
     
     悪戯をした時の子供のような笑顔で敏子は言った。康之の包帯を変えると次の患者のところに行って
     
     「痛いわよ~」と言っていた。
     
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     この物語はフィクションです。 実在の人物、団体などには一切関係ありません、画像はイメージです。
     
    オープニング
     
     5月の最初の日曜日、康之は爽やかな風の中に、2気筒350の軽快な排気音を響かせていた。
     
     強い陽射しが左斜め前から照り付け、メッキしてある部品のあちらこちらに輝きの粒を創り、その粒がキラキラ眩しかった、日陰に入ると輝きの粒は消え、その先の明るい場所で待っていたかの様に一斉に光りだす。バイクの右に有る影は長さを変えながら同じ速度で着いて来る、影を振り切ろうとアクセルを開けても影が離れることは無い、カーブを曲る度に影は前に後に位置を変えた。
     親戚の家まで荷物を届けて欲しいと母親に頼まれ、康之は350で走っていた。
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     親戚の家の近くのS字カーブに入ったとき、大型ダンプがセンターラインを超えて走ってきた、右に倒してカーブに入っていった康之の進路をそのダンプカーは塞いだ、咄嗟に左に切り返しダンプカーとガードレールの間をすり抜けようとした時、バイクに気が付いたダンプカーは左にハンドルを切り、康之はダンプカーにはぶつからずに済んだが、左側のガードレールに擦るようにぶつかったバイクのハンドルは、左に曲り放り出されるように康之は道路中央に飛ばされた。
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     ダンプカーは走り去り、倒れたCBのタンクキャップからガソリンが零れていた、立ち上がろうとするが左足に力が入らずやっとバイクのところまで這って来た。
     事故に気が付いた近くにある製材所の従業員がやってきて、バイクを起こしガードレールに立てかけ「大丈夫か」と康之に声を掛けた、足の状態が良くない事は直ぐに分かった、救急車を呼んで病院に運ぶより自分の車で運んだ方が早いと判断したその従業員は、康之を自分の車で病院へ運んでくれた。
     
     
    つづく
     

     五郎はCB250に乗り秩父へ行った帰り、一日中聞いていたツインのCBサウンドに、若い頃を思い出だした。
     
     帰り道のS字カーブを抜ける時、金と白に塗られたタンクのCBでいつも一緒に走った康之を思った。 
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    S字カーブから始まった 
    忘れない夏
     
    「オートバイってもっと涼しいのかと思った」
      
     稲村のビックウェーブ
     
    天気雨
     
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    写真提供、(株)スターボード   酒井いちろう様
    http://starb.cool.ne.jp/
     
     
     
     

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