何となくハーフムーン 2018年10月18日 カテゴリ:W1S-A 何となくハーフムーン 丘の頂上へと登り詰める少し手前で、正面の遅い宵の空にスマイルカットの月が、幻想的な色合いで浮かんでいた、頂上へ登り詰めると、月の下に街の灯りが広がっていた、灯りの奥は暗い広がりで、その手前に右から左へと、左から右へと光が流れていた、海岸線の国道を走る車の灯りだ、丘の上で直立二気筒のアイドリングを聴きながら街の光を眺めた、丘から直線に下る県道には等間隔に街灯が配置され、月に向かって県道を下ると、滑走路に着陸する飛行機の気分だ、下りきると県道は田圃の中を、左に僅かにカーブしながら信号機のある交差点になる、交差店の赤信号で停まると月は右に有った、信号が青になり交差点を右に曲がると、月は思ったより左に有った、走り慣れた県道の方向が、確かな目印があると思っている方向と違うことを知った、月の下に見えた街を走り抜け、海沿いの国道を東に走る、海岸に近い場所にオートバイを停め、サイドスタンドに車重を預けた、細波の海面にオレンジ色の月の光が反射していた、何となく走り出して着いた先はサザンビーチ、茅ヶ崎で見るスマイルカット、この時期はこんな時間にオートバイで走ると肌寒い、頭に懐かしい歌が浮かぶ「♪なんとなんとなくハーフ・ムーン♪」恋のハーフムーン、太田裕美の舌足らずの歌い方は好きではないが、この歌は松本隆の詞と大瀧詠一の曲が秀作だ、ダブワンに乗りたくて何となく走り出して着いた先、肌寒い茅ヶ崎でハーフムーン、たまにはこんな走りも良いもんだ。 タグ :#オートバイ